【あだち銭湯のススメ】第10回 「曙湯」
- 2019年4月8日
- 2022年1月25日
春と言えば桜。湯に浸かりながら眺められたら最高ですね。今回は、一年中、壁画でお花見ができる銭湯を紹介します。
曙湯
住宅地の中に、突如現れる立派な和風建築。瓦屋根の遥か後方に高い煙突が見え、ビックリするほどの奥行きの広さが伺えます。
創業は昭和11年。
先々代が購入し、昭和32年に現在の建物に建て替えられたそうです。
屋根の破風の下にある懸魚(げぎょ)では、2羽の鶴の彫刻が羽ばたいています。
昭和の姿がそのまま残るレトロな銭湯
真正面で迎えてくれるのは、福助のタイル絵。
福々しい笑顔にほっこり和みます。
左が女湯。入口のレトロな木製のドアの前に立つと、なんと自動でオープン!
自動ドアがまだそれほど普及していなかった昭和43年に、いち早く導入。
当時はこれを体験するために、多くのお客さんが来たそうです。
50年経っても現役なのがすごいですね。
フロントで福助のようなあたたかい笑顔で応対してくれるのは、3代目ご主人の森山篤さん。
息子の雄大さんと二人三脚で、切り盛りしています。
「最近は、大学生や高校生、若いカップルも来ます」とご主人。
中学生が修学旅行の予行演習として、初めて銭湯に来たというエピソードからも、頼れる人柄が伺えます。
ドラマやバラエティ番組などの撮影に使われることも多く、フロントには毒蝮三太夫さん(女湯側)やSKE48(男湯側)のサインが飾られています。
壮麗な銭湯絵は一見の価値あり!
ゆったりできる広さの脱衣場には、風呂上がりの体を休めるのに心地良い井草敷の縁台と籐椅子が置かれています。
浴室の扉を開けると、正面の壁いっぱいに壮麗な姫路城と満開の美しい桜!
まるで広大なカンバスに筆で描かれたような質感ですが、焼き物のタイル絵なのです。
先代夫妻(ご主人のご両親)が旅行先で見た姫路城を気に入って、このデザインにしたそうです。
ちなみに男湯に描かれているのは富士山と桜。
フロントの奥に男女湯の壁画が一続きになっているミニチュアが飾られています。
洗い場には普通の椅子だけでなく、お年寄りや足の弱い人にやさしい高椅子も。
ボディソープ、リンスインシャンプーは2人に1つずつ備え付けられています。
お客さん目線で行き届いた心遣いが嬉しいですね。
お湯は地下130mから汲み上げる井戸水を薪で沸かしています。
水質が良く、水道水だと7~8年で傷んでしまう釜が23年間、問題なく使えているそう。
釜にやさしいお湯は、もちろんお肌にもやさしいのです。
浴槽は、深めの座風呂、スーパージェット、浅めのボディマッサージ、日替わりの薬湯。
わざわざ遠方から目当てに入りに来る人もいるとか。
こぢんまりとしていながらも風情たっぷりの日本庭園の葉陰から、ちらりと覗くたぬきの焼き物も愛嬌たっぷり。
それらを眺めながらゆったり浸かれば、旅行気分が味わえること間違いなし。
体の中からサッパリしたい人には、遠赤外線サウナ(有料)と水風呂もあります。
お風呂上りには水分補給とお土産を忘れずに
たっぷり汗をかいた後は、水分補給をお忘れなく。
フロントで販売しているドリンクの中には、懐かしの瓶コーラもあって、わざわざ飲みに来るお客さんもいるそうです。
銭湯ならではのお土産もあります。
銭湯の組合の公式キャラクター「ゆっポくん」は、じわじわと人気上昇中。
マスコットホルダー(700円)と、歩く「トコトコゆっポくん」(2,000円)の2種類があります。
小さい板に「わ」の文字が焼き印された不思議なストラップも。
実は曙湯の入口に、これと同じデザインの大きい板が掛けられていて、ストラップはミニチュア版。
アーティスト・ウエハラヨシハルさんが江戸時代の粋な駄洒落文化からヒントを得て創った作品。
「わ」板=お湯が湧いた(営業中)の意味で、裏側の文字は「ぬ」、つまり「ぬ」板=湯を抜いた(準備中)です。
ひなまつり、端午の節句などには、ウエハラさん作の風物詩の飾りつけが見られます。
<<利用のポイント>>
●フロント式
●お風呂の種類=深風呂(スーパージェット、座風呂/43℃弱)、浅風呂(ボディマッサージ/42℃)、水風呂、薬湯(日替わり/38~39℃)、露天風呂、サウナ(200円/フェイスタオル・バスタオル付)
●備え付け
・浴室=ボディソープ、リンスインシャンプー(無料)
・脱衣場=ハンディドライヤー(20円)、血圧計(無料)
●貸出
フェイスタオル(無料)、バスタオル(100円)
「曙湯」
■住所:足立区足立4-22-3
■電話番号:03-3886-0706
■営業時間:午後3時~午前0時
■定休日:木曜日
■交通:東武線「五反野」駅から徒歩5分