【あだちミステリーハンター】竹の塚 赤山街道は都内屈指の数を誇るカラーマンホール密集地帯
- 2020年12月24日
- 2022年2月4日
「竹の塚 赤山街道には、都内屈指の数を誇るカラーマンホール密集地帯がある」
年の瀬、師走らしいスケジュールに追われる私の元に奇妙な情報が届けられた。
近年、全国には有名アニメキャラクターが使われたり、地元特産物が紹介されたりと様々なカラーマンホールが存在する事は知っていた。
しかし、まさかこの足立区にもカラーマンホールが存在していたとは…!
何より「都内屈指の数」という言葉に私の興味心が誘惑された。
なぜ、大量の、しかもカラーマンホールが設置されることになったのか?
この「謎」、ぜひともこの手で解き明かしたい!ミステリーハンターの名にかけて!
さっそく、私は赤山街道にまで現地調査に赴いた。
赤山街道とは?
江戸時代、関東郡代として関東地方の開発にあたった伊奈氏が土木工事を推進する中で、拠点とした赤山陣屋(現:川口市赤山)と現地との連絡や物資の郵送を目的として設けた道。大宮道、越谷道、千住道の3つの道筋が存在。
なんだ…!?この数は…!?
東武スカイツリーライン 竹ノ塚駅から赤山街道を歩きだして即座に登場したカラーマンホール密集地帯のボリュームに度肝を抜かれた。
カラーマンホールが点々と存在する程度ならばよくある光景だ。
しかし赤山街道はとにかく数が多いのだ…!
以下の現地取材写真から私が感じた驚きが伝われば幸いだ。
歩道一覧に埋め尽くされたカラーマンホール。圧倒的なボリュームに私は圧倒された…!
読者の皆様のお住いの街でこのような光景は中々、見ることができないのではないだろうか?
このような光景が東武スカイツリーライン 竹ノ塚駅を中心に約1.6kmに渡って展開されている。
具体的には東は「増田橋」、西は「はんのき橋」の辺りまでがカラーマンホール密集地帯だ。
結構な距離があるので現地に行かれる際は歩きやすい格好で行くことを強く推奨する。
【増田橋 所在地】東京都 足立区 竹の塚2丁目9
【はんのき橋 所在地】東京都 足立区 古千谷本町4丁目6
カラーマンホール以外にも様々なモニュメントが
赤山街道はカラーマンホールだけではなかった。
様々なユニークなモニュメントと共に艶やかに彩られている。
「カラーマンホール×大量の数×モニュメント」の相乗効果により赤山街道を特殊な空間に変えていた。
カラーマンホール密集地帯の産みの親 八鍬氏に聞く
赤山街道の現地調査を終え、カラーマンホール密集地帯への興味が深まる一方だった。
「何故、あのようなデザインが誕生したのか?」
「何故、大量にマンホールが存在するのか?」
興味が湯水の如く湧いてきて仕事にも手がつかない…!
悶々として日々を過ごす中、全ての疑問を解決に導いてくれる重要な情報が届けられた。
「足立区役所に勤務する八鍬一生(やくわ かずお)氏がカラーマンホール密集地帯の産みの親」
謎が全て解ける!
はやる気持ちを抑えながら私は八鍬氏に連絡し、インタビューを行った。
親水水路計画からマンホール密集地帯が誕生
――インタビューにご協力いただきありがとうございます!本日は都内でも屈指のカラーマンホール密集地帯が誕生した秘話を聞かせてください!
八鍬氏:誕生の発端は、区内の下水道整備に伴い、竹ノ塚駅周辺で足立区の親水水路計画に基づき、道路整備を行ったからです。下水道整備にあわせ、元々水路だった赤山街道の歩道部分を埋めて現在の姿を形作りました。昭和61年から私は足立区役所土木部 西部工事事務所 設計係に配属されていて、赤山街道整備の設計を担当していました。
――当時はまだ竹の塚に下水道が普及してなかったのですか?
八鍬氏:すでに整備されていた千住地区を除いて、竹の塚はもちろん、足立区全体で下水道の整備中でした。台風が来ると区内に降った雨水が処理できず、ところどころ道路が冠水することがありましたね。水害時には先輩の職員たちと共に街中に土嚢を積みに行くこともありました。
――何故、赤山街道にはカラーマンホールの数が多いのでしょうか?
八鍬氏:人口が関係しています。沿道に住んでいる人が多ければ、それぞれの敷地内の汚水や雨水を処理しなければならないので、必然的にそれぞれの桝(家庭から出る雨水や汚水を下水道に流すための施設)が増えます。紐付いて点検・修理・掃除の機会も増えるわけですから本下水道への入り口であるマンホールも増加します。このような経緯でカラーマンホール密集地帯の誕生に繋がりました。
情念を押し通す。足立区の歴史が込められたデザイン
――個性的なカラーマンホールのデザインが誕生した経緯を教えて下さい。
八鍬氏:私の「若さゆえの情熱」とでも言えばいいでしょうか。当時、他自治体のカラーマンホールの事例集を見て、私も挑みたくなりました(笑)。当時は働き盛りでしたので挑戦心や冒険心にあふれていたのでしょうね。
――計画承認は簡単に取り付けられましたか?
八鍬氏:「予算内で収まるなら、俺が責任を取るからOK」と。当時、上司からの理解があったので、情熱を押し通すことができました(笑)。
――カラーマンホールのデザインについてお話を聞かせてください。
八鍬氏:「足立区の歴史をより区民に、さらには他区他県の人にも知ってもらいたい」というコンセプトでデザインしてただきました。
八鍬氏:カラーマンホールはこれらのデザインを基本に微妙に文字が違うものもあるのでぜひ、全部見つけてください(笑)。
――まるで某モンスターを集めるスマホゲームのようですね(笑)。全てを見つけ出すために赤山街道を練り歩くのも楽しそうですね。
八鍬氏:カラーマンホールと併せて街路樹保護板、歩道に埋めこまれた平板などのモニュメントも足立区ゆかりのものを紹介するデザインに仕上げていますので併せて楽しんでください。
時間と共に味わい深く姿を変えていく
――カラーマンホールやモニュメントの寿命はどの程度ですか?
八鍬氏:鉄でできているので基本的には何十年と使用することができます。ただ、カラーマンホールの塗装が剥げたり、モニュメントの風化が進んでいくことはあるでしょうが。
――なるほど。確かに私が調査に行った時、塗装の剥がれや、風化に差がありました。
完成後は地元から好意的な声が!
――カラーマンホール密集地帯が誕生した後、地元の人々からの反応はいかがでしたか?
八鍬氏:完成後は「足立区の魅力を再発見できた!」と好意的な声をいただけました。これからも地元の人々は勿論、赤山街道を訪れる人達にカラーマンホール密集地帯を楽しんでいただければと思います。私自身もずっと後世に残り続ける仕事に携わることができてよかったです!
――本日はインタビューのお時間をいただきありがとうございました!
こうして、「都内屈指の数を誇るカラーマンホール密集地帯」の謎は解けた。
カラーマンホールは、当時の若き職員の情熱と、地元の愛情で生まれたものだったのだ!
今回すべては解説できなかったが、カラーマンホールやモニュメントのデザインは、足立区ゆかりのものばかりだ。
「我こそは足立区マニア」という方は、ぜひ現地に赴き、デザインの由来に思いをはせてみてほしい!
【配布中止】マンホールカード(2022年2月現在)
東京都より、新型コロナ感染症の拡大に伴い、配布を中止するよう要請がありました。
配布再開時期などは、足立区のホームページ「デザインマンホール紹介ページ」などでお知らせします。
2020年2月、東京都による観光施策の一環として、足立区内7ヵ所にデザインマンホールが設置された。
そして現在、マンホール蓋のコレクションアイテム「マンホールカード(足立区デザイン)」が区内2カ所で配布されている。11月から配布を開始しているらしいが、どうやら遠方からもカードを求めてやってくるコレクターがいるようだ…。
カードはなくなり次第配布終了なので、注意が必要だ!
【足立区のデザインマンホール、マンホールカードについてはこちらから】
https://www.city.adachi.tokyo.jp/s-shinko/designmanhole.html(外部サイトへリンク)