北千住の魅力を再発見! 北千住女子-SENJO-のブックスポット巡り
- 2018年10月30日
- 2021年12月22日
最近、雑誌やメディアで取り上げられることも多い「北千住」。
今、そんな北千住に「SENJO」と呼ばれる女性たちの”新しいブーム”が起きていることはご存じでしょうか。
「SENJO」とは”北千住女子=センジョ”という意味。
北千住の新しい魅力を再発掘し、北千住を満喫している女性たちのことなのです。
そんな最先端のライフスタイルを突き進む「SENJO」。
今回のテーマは、「SENJOが楽しむ、本のあるまち北千住」。
読書の秋、本に触れることのできる3つのスポットと、耳寄りイベント情報をご紹介します。
今回のSENJOは…
およそ70万冊の蔵書を誇る足立区随一の図書館
小林さんがまず足を運んだのは、「足立区立中央図書館」。
1969年に梅田に開館してから現在の場所に移転したのは2000年のこと。
荒川を望む7階建てのビル「足立区生涯学習総合施設(愛称:学びピア21)」の1~3階に入る中央図書館館長の飯塚尚美さんにご案内をお願いしました。
「中央図書館では、3フロアに渡って、座席数は391席設置しています。1階は雑誌や新聞、CDにDVDなどで、3階は芸術書や各種事典、人文書や全集などです。 受付のある2階では、文学作品、芸術、スポーツ、文庫本のほか、絵本を含めた児童書や中高生向け図書、地図や海外の本、生活実用書などを置いています。いま展開中の特集テーマは『大人女子に贈るオススメ本』。館内2箇所に特設コーナーを設けているんですよ」
そう言って案内してくれたのが、児童書コーナーの入り口に設置された「児童図書編」の特設コーナー。
棚を見た小林さんは大感激。
「懐かしい本があります。『魔女の宅急便』は何度も何度も、内容を覚えてしまうまで読んだ記憶があります」
「せっかくですから、絵本コーナーも覗いてみてください。絵本の中には大人が読んでも楽しめるものが多いですし、ここにはちょっと変わった絵本もあるんです」
促されるままに絵本の森を奥へ進むと、そこには大型絵本コーナーがありました。
「主に読み聞かせサークルなど団体の方のみにお貸出ししているのですが、 お子さんたちに大人気です。このコーナーでは読み語りも行っていて、お話にちなんだぬいぐるみを置いてみなさんに物語の世界を楽しんでいただいています」
ページをめくる小林さんも、すっかり童心にかえってしまったようです。
「続いて、『大人女子に贈るオススメ本』特集コーナーの一般図書編です。こちらもまた別の若手4人が選書してくれていまして、男性スタッフも頑張って選んでくれました」
「どの本にしようか目移りしますね。全部読みたくなります」
どうやら小林さん、小学生の頃は毎週図書館に通うほどの本好きだったとか。
「気に入った本を繰り返し読むのが好きな子どもでした。でも、中学生になると図書館から足が遠のいてしまって。今日、本当に久しぶりに来ることができてよかったです。これ、借りていきます」
そう話す小林さんが手にした一冊は「ずぼら女子のためのおとなキレイ養成講座」(トキオ・ナレッジ 著、ジー・ビー刊)。
おすすめコメントに共感したとのことで、ちょうど近くに選書された職員さんがいたのでお伝えすると、「きっとこういうものが興味を持ってもらえるんじゃないかなと、想像してみました」とのこと。
さすが図書館職員! 読者心理を掴んでいます。
「ここ中央図書館は午後8時まで開館していますが閉館後もブックポストで返却可能ですし、区内であればどの図書館でも返却いただけます。 また、図書館以外でも、綾瀬の勤労福祉会館、西新井のこども未来創造館(ギャラクシティ)、北千住の東京電機大学にもブックポストがあります。お近くのブックポストをご利用くださいね」
「他の図書館でも返却できるんですね! せっかくなので、自宅近くの図書館に、返却がてら久しぶりに立ち寄ってみますね」
なお、11月10日(土)・11日(日)の10時から16時まで(最終日の入場は午後3時30分まで)の間、 区立図書館での利用を終えた図書の有効活用として、中央図書館のある建物の4階、生涯学習センター4階講堂にて、「本のとらばーゆ」が開かれるとのこと。
お1人様20冊まで(絵本は2冊まで)無料で持ち帰ることができるそうなのでマイバッグ持参でぜひ立ち寄ってみてください。 「大人女子に贈るオススメ本」
【足立区立図書館蔵書・予約システム「特集コーナー」はこちら】
※ 「大人女子に贈るオススメ本」一覧は、特集コーナー>一般向け特集コーナーからご覧になることができます。(貸し出し状況もオンラインでわかります)
中央図書館
所在地:足立区千住5-13-5(学びピア21内)
TEL:03-5813-3740
開館時間:午前9時から午後8時まで
ブックポスト利用時間:午前6時から午後9時30分まで(ただし、12月28日から1月4日は利用不可)
休館日:月末/館内整理日、特別整理期間、年末年始
まちの出版社が手がける 6畳ブックカフェでゆったり読書
続いて向かったのは、中央図書館から徒歩5分、木造アパートの2階で営業している、たった6畳の「book cafe SENJU PLACE」です。
恐縮ながら、センジュ出版という出版社の代表を務める筆者の事務所の一角にあるこのカフェに、小林さんをご案内しました。
2015年、千住の名前を冠した出版社「センジュ出版」を立ち上げた際に考えたのは、本を手渡す場、本を語り合う場も編集しようということ。
そこで、出版社事務所の一角をブックカフェとして開かれた場所にすることにしました。
「ここ、くつろげますね」
置かれたちゃぶ台を前に畳の上に座った小林さんは、肩の力が抜けた様子。
カフェ店員の河口茜さんが注文を受け、ハンドドリップでコーヒーを淹れます。
メニューは徳島の焙煎所「アアルトコーヒー」から入荷している豆を使ったコーヒー、季節のシロップ割や店長・岡田亜矢乃さんのハンドメイドスイーツ。
店内の本棚は3種の役割があります。
センジュ出版の本と他社から仕入れた本を販売する「書店棚」、
カフェ店内だけで読むことができる「コレクション棚」、
そして地域の方などから寄贈された本が並び、貸し出しを行っている「図書館棚」。
小林さんは、センジュ出版の最新刊を手に、しばし読書に耽っていました。
「入るまでは本当にここがカフェなのかと驚きましたけど、一度腰を下ろすと時間を忘れそうになりますね」
静けさとユーモアを大切にするセンジュ出版のブックカフェでは、静かに本を読むのもよし、スタッフとユーモアを交えながら語り合うのもよし、ゆっくりとくつろげる空間を目指しています。
「月に一度はブックナイトサロンというイベントを開いていて、テーマに沿った本をみなさんにお持ちよりいただいて紹介し合う会もあります。また、週末も時々開けていますので、またぜひお越しくださいね」
と、河口さん。
常時300タイトル近い本とコーヒーと店長・岡田さんのお手製の美味しいお菓子が揃ったブックカフェ。
時間を忘れて、畳の上ででくつろぎながら本を楽しんでください。
book cafe SENJU PLACE
所在地:足立区千住3-16 2階
TEL:03-6677-5649
営業時間:9時30分から17時30分まで(土日・祝日定休 ※ご来店時には事前にお問い合わせください)
ホームページ:http://senju-pub.com/shop/
250種以上のラム酒が揃うバーの特設ブックコーナー
最後に小林さんが立ち寄ったのは、SENJU PLACEと同じ千住三丁目にある「ラム酒専門バーBlueCane(ブルーケイン)」。
マスターの大橋久胤さんは20代の頃、昼間は介護職、夜はバーで働くという日々を送っていたそうですが、その後介護職を離れ、30歳を過ぎて独立。
飾らない、ラフなお酒・ラムに魅了され、実家の茨城から沿線沿いを考えるうちに、北千住での開店となったそうです。
「世界にはラム酒だけで4万種もあるんです。キューバなどカリブ海に浮かぶ島々が主な生産地でそのイメージが強いと思うんですが、実際はインドの国産ラムがラム酒の中で最大の消費を誇っていたり、また日本でも南大東島でラム酒を作っていたりと、世界各地で作られ、飲まれている身近なお酒です」
大橋さんの説明を受け、ラム酒専門店を初めて訪れた小林さんが、おすすめを聞いてみました。
「女性にも飲みやすいメニューもありますか?」
「そうですね。季節のフルーツをラムで漬け込んだものも女性に人気ですが、まずはうちのモヒートを飲んでみてください。キューバではミントではなく、イエルバ・ブエナというハーブを使うんですが、ミントより爽やかですよ」
そう言って出されたグラスを見ると、あふれんばかりのイエルバ・ブエナが。
「キューバでいちばん飲まれているラム酒がこのハバナクラブ、モヒートにはとくに3年熟成ものが好まれています。味のバランスがいいんですよね」
「たしかに美味しい!」と本場のモヒートを楽しむ小林さん。
そんな彼女に、「もしラムのことを少し知っていただくなら、この本おすすめですよ」と、大橋さんが手にとったのが、店内特設コーナーに置かれた『ラム酒大全』(日本ラム協会著・誠文堂新光社刊)。
定番100種のラム酒が紹介された事典のような一冊です。
ところでこの特設コーナー、実は、センジュ出版がプロデュース。
以前から街に本のある場所を作りたいと思っていたところ、行きつけのブルーケインさんの一角に本棚を発見。カウンターで「少し選書させていただけますか?」とご相談し、このコーナーが生まれました。
「一人でいらっしゃるお客さんも多いので、本があるのは嬉しいです」
と大橋さん。
もともと、数冊の本が置かれていた場所に、5冊の本を加えさせていただきました。
選書したのは、「風のマジム」(原田マハ著・講談社文庫)、「キューバ音楽を歩く旅」(さかぐちとおる著・彩流社刊)、「世界の果てでも漫画描き1 キューバ編」(ヤマザキマリ著・集英社クリエイティブコミックス)、「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」(若林正恭著・KADOKAWA刊)。
いずれも、ラム、キューバを知るにはもってこいの本です。
お酒が進んだ小林さんはふとお店のメニュー表をめくるうちに、「このスイーツ美味しそうですね」と気になる一品があった様子。
「はい、うちはラム酒入り自家製生チョコレートと、自家製ラムレーズン入りバターサンドをお出ししてます。どちらも、女性のお客さんにも人気ですよ」
とのことで、早速注文してみました。
口の中でラムの香りが広がり、お酒にゆっくり合わせたくなる味で、他の銘柄を「ラム酒大全」で探す小林さんに、大橋さんがこんな話を。
「原田マハさんは、実は自分も好きな一冊なんです。ずっと持ってたんですが誰かに貸したらそのままになっちゃって。このコラボ企画で持ってきてくださって助かりました。この本に出てくるラム酒も、店にありますよ」
そう言いながら、「COR COR」と書かれた緑と赤の二種類のボトルを見せてくださいました。
「サトウキビから砂糖を精製する際に出る廃糖蜜を醸造原料としているか、サトウキビの絞り汁を直接醸造原料としているかの違いなんですが、後者の方が手間もかかるし、年に一度しか作れないために希少価値が高いんです。そのあたりのドラマが、この本に書かれています」
南大東島にグレイスラムという蔵元を立ち上げた女性の実話をもとにしたこの小説、お酒自体はとても個性的で存在感があります。そんなお酒の輪郭を浮き彫りにしてくれる本を読みながら飲む一杯はまた格別のようです。
緑のボトルの「COR COR」はこのお酒の製法をもとに造られたのだとか。
ラム酒の醸造所のあるマルティニーク島を訪れた時の様子などを語ってくださった大橋さん。
本とお酒の物語は、この後もまだまだ続きました。
Bar Blue Cane
所在地:足立区千住3-58-36 2階
TEL:03-6806-1325
営業時間:19時から~26時まで(日曜は不定休。営業の場合は24時まで)
おわりに
「最近本屋さんの数が減って、自分自身も本を読む機会が減ってしまったんですが、こうしてまちの中で本と出会うと、どの本も興味深くてそれぞれ読みたいと思えました。図書館の本も、選書された方のコメントがついていると親しみを覚えます。
バーのマスターとカウンターで本の話ができるなんて、いいですよね。今日は一日、人が介在している場所での本との出会いを楽しめました」
と、小林さん。
千住のブックスポットめぐり、みなさんもぜひお楽しみください。
さて、最後に、この秋のイベント情報のご案内です。
筆者も主催者の一人として関わっています「第3回千住紙ものフェス〜紙でつながる人とまち〜」。
今回は「本とあそぶ。」をテーマに、開催します。
千住内外の美味しい飲食店からなる出店ブース、ユニークな本や雑貨、文具が並ぶ物販ブース、アーティストのみなさんによるワークショップを楽しめる展示ブースなど、一日遊べるイベント。
今年はなんと、人気小説家の先生方が千住に集結。また、このページでご紹介した中央図書館、Blue Caneの皆さんのブースもあります。
「第3回千住紙ものフェス〜紙でつながる人とまち〜」テーマ「本とあそぶ。」
【日時】2018年11月4日(日)10時〜16時
【場所】千住四丁目氷川神社(足立区千住4-31-2)
【参加費】中学生以上300円(入場後の飲食費やワークショップ参加費、物品購入費は別途かかります)
【主催】あだち紙ものラボ
【お問い合わせ】
センジュ出版内あだち紙ものラボ事務局
電話03-6337-3926 /メール:info@senju-pub.com
【イベントホームページ】
https://kami-mono-fest.localinfo.jp/
この記事を書いたのは…吉満明子(よしみつあきこ)さん
自宅そばの千住三丁目でひとり出版社「センジュ出版」と6畳ブックカフェを手がける編集者。
千住大川町在住、一児の母。2015年、千住3丁目に株式会社センジュ出版を設立。
事務所の一角の6畳和室スペースにちゃぶ台のあるブックカフェ「SENJU PLACE」を運営。
「千住紙ものフェス」「センジュのがっこう」など、まちのイベントのプロデュースも多数手がけ、現在は足立区文化・読書・スポーツ総合推進会議委員も務める。
編集協力に「あだちのオハコ」(足立区観光交流協会)「あだちのものづくり物語」(足立区工業会連合会)。
【センジュ出版】http://senju-pub.com/