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【あだちミステリーハンター】足立区で人気の御朱印に隠されたミステリーを解き明かせ!〜江北氷川神社の短歌編〜

  • 2018年7月20日
  • 2021年12月22日

あだちミステリーハンターあだちミステリーハンターであるわたしは、今、とある依頼を受け、江北地域へやってきた。
荒川土手沿いに歩いてきたが、暑い。暑すぎる。
すでに汗だくになってしまったが、目的地である「江北氷川神社」はもうすぐだ。

 今回の目的は、江北氷川神社と御朱印だ。

御朱印ガールも訪れる!? 足立区人気の江北氷川神社

先日のことだ。依頼人である足立区観光交流協会から電話があった。

「あ、ミステリーハンターさん? ちょっと調べてもらいたい件がありまして……。御朱印ってご存じですか? そうです、神社や寺院で貰えるものです。実は、『江北氷川神社』の御朱印が、とても人気があるようなんです!どうやらちょっと珍しい御朱印のようで…。ミステリーハンターさん、人気の理由を知りたくないですか?いま御朱印ガールという女性も増えているようですし……。あっ!引き受けていただけますか! では、よろしくお願いいたします!」

という経緯だ。

御朱印とは、神社や寺院に訪れた参拝者に押印する印章のこと。
御朱印帳に押印してもらうのだが、参拝の記念・記録の他、コレクター的な要素、個性的なデザインのものも多くアート的な要素もあるなど様々な魅力があり、いまブームになっているのだ。

可愛らしくカラフルなものから、勇壮な筆文字で書かれるものなど実に多様な御朱印だが、江北氷川神社の御朱印は短歌が書かれており、その短歌も毎年変化するのだとか。
足立区の神社仏閣の中でも特に高い人気を誇っているそうだ。

今回の依頼は、その御朱印の短歌にまつわる秘密というわけだ。

そのミステリー、わたしが解き明かそう!

毎年変わる短歌に隠された秘密とは…

あだちミステリーハンター「ごめんくださーい。あだちミステリーハンターですが……」

と声をかけると、優しそうなご婦人が迎えてくれた。
彼女は、江北氷川神社の名誉宮司である八木冨美子(やぎふみこ)さん。
御朱印の短歌のことをお伺いしたい旨を伝えると、快く了承していただけた。

 「もともと短歌は書いていなかったんですよ。6〜7年前になるかしら、参拝に来られた方から『なにか書いてもらえませんか?』とリクエストをいただきまして、そこから書くようになりました。最初は参拝客それぞれに違う言葉を書いていたのですが、100人を超えたあたりから、大変になってきまして(笑)。1年に1回、元旦に短歌を変えるようにしたのです」(八木さん)

 なるほど。八木さんは短歌や和歌などの素養をお持ちだったのか。
でないと、即興で言葉を出すなんてなかなかできない芸当だ。

「そんな素養も手習いもしたことないんですよ(笑)。あることがきっかけで思い浮かんでくるようになった言葉を、御朱印に書いています」(八木さん)

 んん? 一体何があったのだろうか?

悲しい別れから立ち直らせてくれた言葉の数々

江北氷川神社の御朱印依頼帳
江北氷川神社の御朱印依頼帳

「私の夫は、39歳の若さで亡くなりました。いつもと変わりなく過ごしていたのですが……突然のことでした。当時の私は、あまりにも急なことでしたので、現実を受け入れることができませんでした」(八木さん)

 わたしは二の句を継げなかった。

 「眠れない日が続いていたある日、言葉が思い浮かんでくるようになりました。その言葉は私を奮い立たせ、勇気をくれました。でも、朝になって起きるとその言葉を忘れてしまっているのです(笑)。ですので、枕元に筆記用具を置きまして、記録するようにしたのです」(八木さん)

 つまり、御朱印に書かれている短歌や言葉は、八木さん自身の言葉ということなのか?

 「お恥ずかしながら、そうですね。ある方は、この言葉のことを道の歌と書いて“道歌”だなんて評してくれました」(八木さん)

 “道歌“とは言い得て妙だろう。
八木さんご自身は実に闊達(かったつ)にお話してくれているが、様々な思いや悲しみと真摯に向き合ってこられた日々があるからこそ今があるのだろう。
御朱印の言葉が変わる珍しさがフォーカスされているが、その言葉にはこんな背景が…。
多くの人々の胸を打つ理由がわかった気がした。

江北氷川神社の御朱印は道を指し示す

あだちミステリーハンターそして、2018年(平成30年)の御朱印を八木さんに書いていただいた。
江北氷川神社の御朱印が珍しいと言われる理由のひとつは、前述の通り、毎年言葉が変わるということ。
そして、もうひとつは御朱印帳を見開きで使用することだ。

珍しい御朱印のため、多くの方が訪れ、今年は7月時点で1,500人もの方が御朱印を依頼している。
御朱印依頼帳には、台湾やイギリスなど海外からの参拝客も見られた。

あだちミステリーハンター
平成30年の御朱印

今年の言葉は以下となっている。

「汝こそ 数多の苦難ふみこへて 開いてみよや 人の世の道」

 「この言葉は、夫が亡くなった後に初めて思い浮かんできた言葉なのです。そのときは、“汝こそ”の部分が“己こそ”でしたので、皆様に押印する際に変えてあります。スタンプ(写真右下)は、季節ごとに変えています。今は紫陽花(あじさい)ですが、もうそろそろ金魚になりますよ」(八木さん)

 今年の言葉は、八木さんにとってひときわ思い入れ深いということだ。
最愛の人を亡くした喪失感はとても想像できないし、“幾多の困難を踏み越える”という言葉以上に重く深い気持ちを感じずにはいられない。

あだちミステリーハンター
江北氷川神社で購入できる御朱印帳。3色から選ぶことができる

江北氷川神社では御朱印帳を購入することもできる。
同社に縁深いデザインになっているので紹介しておこう。

江北氷川神社のすぐ側を流れる荒川。荒川沿いは桜並木が有名で春ともなると、多くの人が花見に訪れる。
この桜並木は、多くの品種の桜が咲き乱れ、5色にも見えることから「五色桜(ごしきざくら)」と呼ばれており、明治45年には日米友好の証としてワシントンに苗木が送られた歴史がある。

江北氷川神社の御朱印帳は、表には五色桜と社殿。裏には米国国会議事堂がデザインされている。
御朱印帳も歴史が詰まったオリジナルのものなので、ぜひ訪れた際には、手にとってみてほしい。

!御朱印をいただく際の注意点!

御朱印を書くのは、名誉宮司の八木冨美子さんだけである。
ご不在のときもあるので、必ず事前に江北氷川神社に連絡をしてから、参拝してほしい。

■江北氷川神社
住所:〒123-0872足立区江北2丁目43-8
電話番号:03-3897-6483
オフィシャルWEBサイト:http://www.hikawajinja.com/

足立区の御朱印情報

御朱印ガールには会うことができなかったが、御朱印の奥深さを知ったわたしは、足立区内でも個性的な御朱印が貰える神社仏閣を調べてみたので、少しだけ紹介したい。

■千住神社(千住宮本富士)
住所:〒120-0043 東京都足立区千住宮元町24-1
電話番号:03-3881-1768
オフィシャルWEBサイト:http://senjujinja.kachoufuugetu.net/

千寿七福神めぐりの恵比寿天を祀っている。
御朱印は社号と恵比寿天の二種類があり、夏詣の期間中(夏至から7月末まで)は「夏詣」の印も捺してもらえる。
手書きと印刷の両方の用意があり、参拝時に選ぶことができる。

綾瀬稲荷神社
住所:〒120-0005 東京都足立区綾瀬4丁目9-9
電話番号:03-3606-2512
オフィシャルWEBサイト:http://www.ayaseinari.jp/

お稲荷様ゆえにかわいい狐が2匹描かれる御朱印。
朱と紺の2色使いがシンプルで味わい深い。
日付以外は、スタンプであり、基本は書き置きになっている。

今回は、あまり多くは紹介できなかったが、足立区では千寿七福神めぐりなども開催されており、面白い御朱印がもっとありそうだ。
依頼があればもっと詳しく紹介していきたい。
足立区の御朱印の奥深さをもっと知るために!

あだちミステリーハンター/中西英雄 取材協力/江北氷川神社 名誉宮司 八木冨美子さん

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