昭和57年に制定された区の木「さくら」と区の花「チューリップ」。
足立のまちと、「さくら」「チューリップ」には、昔からちょっとした繋がりがあるのです。
「五色桜」
現在の足立区江北の一帯は、昭和初期まで「荒川の五色桜」と呼ばれた桜の名所でした。「五色桜」とは品種の名前ではなく、様々な品種の桜が植えられていて、白や黄色、淡紅や濃紅色などに彩られ、五色の雲がたなびくように見えたことからこの名が付いたと言われています。
「里帰り桜」
明治45年、当時の東京市長、尾崎行雄が日米友好の証として「荒川の五色桜」の苗木12品種3,000本を、アメリカの首都ワシントンに贈りました。現在、市内のポトマック公園は、世界的な桜の名所となっています。
一方で本家の「荒川の五色桜」は堤防の工事や公害の影響で、残念ながら衰退してしまいました。
足立区では、「五色桜」を復活させるために昭和56年2月、区制50周年記念事業として、ポトマック公園の桜から枝を採取し、33品種3,000本の「桜の里帰り」を実現しました。
この枝から苗木を増やし、あわせて「荒川の五色桜」に由来する品種を集め、区内の公園や学校などに植えました。
これにより新しい桜の名所として「都市農業公園」や「荒川左岸鹿浜橋緑地(桜づつみ)」などがうまれています。
また、「桜の里帰り」の一環として、ナンシー・レーガン元米国大統領夫人から贈られた「レーガン桜」も都立舎人公園に植えられ、花の時期には訪れる人々を魅了しています。
チューリップは、昭和57年に、「区の花」に制定されました。
かつて、足立区内にはチューリップ農家が多数あり、大正期には最新式のガラス温室を利用した栽培が試みられました。
また、大正6年に鴨下金三氏によって完成された冷蔵によるチューリップの促成栽培は、「足立のチューリップ」として全国的にその名をとどろかせたのです。
しかし、現在では、チューリップ農家は少なくなり、「区の花」としての知名度も低くなっているようです。
足立のまちと縁のあるチューリップをあなたのお家や職場、学校などで育ててみてはいかがでしょうか?